各ワインの種類についての基礎知識
ワインはブドウの果実を原料にして造られる「醸造酒」です。ブドウ自体に水分と糖分を含んでいるので、ブドウをつぶして置いておくと、発酵の条件が整ったらワインに変化します。原料となるブドウの種類や製造工程の違いによって、ワインは大きく4つの種類に分けられます。
ここでは、赤ワイン・白ワイン・ロゼワイン・スパークリングワインそれぞれの特徴や保存について、基礎知識をわかりやすくご紹介します。
赤ワイン
赤ワインは、原料となる黒ブドウを潰して、果汁と一緒に皮や種も発酵して造られます。ブドウの果肉は黄緑色ですので、赤ワインの色素は黒い皮の部分に由来しているのがわかると思います。皮と種を果汁と全て一緒に発酵することで、色素とタンニンが溶け出して、色と風味が作り出されるのです。
さっそく、赤ワインに使われる主なブドウ品種を見ていきましょう。
*カベルネ・ソーヴィニヨン
フランスのボルドー地方が原産で、小さな粒と分厚い皮と大きな種が特徴です。色が濃く、強い渋みと酸味を併せ持っています。凝縮した果実味と清涼感を感じる香りがあり、しっかりとした骨格を感じる味わいに仕上がります。長期熟成のポテンシャルが高いのも魅力です。世界で最も人気があり、栽培面積も広いことで知られています。
*ピノ・ノワール
フランスのブルゴーニュ地方原産。フランスやドイツ、アメリカのカリフォルニア州、オーストラリアやニュージーランドなどで多く栽培されています。
粒は中くらいで、皮は薄めです。ワインの色合いは明るめで、渋みは少なく、しっかりとした酸味を感じます。繊細で上品、そして華やかさを感じる香りと味わいが特徴です。単一品種で造られることがほとんどです。
*メルロー
フランスのボルドー地方原産。中粒で大きめの房、糖度が上がりやすく、豊かな果実味を感じるまろやかな味わいに仕上がります。環境適応力の高さで知られ、産地を選ばず栽培しやすいのが特徴です。カベルネ・ソーヴィニヨンに次いで、世界各地で多く栽培されています。
*シラー (シラーズ)
原産地はフランス・ローヌ地方。もう一つの主要な産地であるオーストラリアやその他のニューワールドでは、シラーズと呼ばれます。小粒で濃厚な色合い、分厚い皮を持っているブドウです。コクのある果実味と黒胡椒を思わせるスパイシーな香り、なめらかなタンニンが特徴で、近年、世界各国で栽培面積が増えてきています。
白ワイン
白ワインは、まず最初に白ブドウを搾って果汁のみの状態にしてから、発酵してワインにします。果皮や種は含まれないので、渋さが出ないのが、赤ワインとの違いです。
それでは、白ワインに使われる主なブドウ品種を見ていきましょう。
*シャルドネ
フランスのブルゴーニュ地方原産。小さめの房に、薄めの果皮を持つ小粒の実が成るのが特徴です。世界で最も人気があり、高品質のワインが生まれると定評のある白ワイン用品種。寒冷地でも育ちやすいことから、世界中で広く栽培されています。
もともとブドウ品種としての個性は控えめ。産地や醸造方法によって、シャープですっきりとした味わいから、リッチでコクのあるタイプまで、多彩な表情に変化するのが魅力です。
*ソーヴィニヨン・ブラン
フランスのロワール地方原産。小さめの房に小さな実が成ります。ハーブを思わせる香りが特徴で、フレッシュで爽やかな酸味と、イキイキとした果実味が魅力。冷涼な産地での栽培に向くタイプですが、近年ではチリやオーストラリア、南アフリカ産も評価が上がってきています。
*リースリング
ドイツのラインガウ地方が原産。ドイツ国内で最も栽培されている品種です。小さな房に小粒の実が成ります。耐寒性が大変強いことで知られ、シャープな酸味とクリアで引き締まった果実味が特徴。辛口~甘口まで、幅広いタイプの味わいに仕上がります。
ワイン用の白ブドウの中では、最も高いポテンシャルを持った品種とされ、高品質のワインが生み出されるとして定評があります。
ロゼワイン
ロゼとは、フランス語でバラ色を意味する言葉。ロゼワインの特徴は、何と言ってもその美しい色合いですよね。淡いピンク色から赤ワインのような濃いバラ色まで、ワインによって様々です。
黒ブドウの果汁を使って、発酵の途中である程度の色が抽出できた時点で皮と種を取り除く、「セニエ法」と呼ばれる製法が主流です。
もう一つは、黒ブドウを使って、白ワインのように果汁のみを搾って醸す「直接圧搾法」。その他、赤ワインと白ワインを混ぜる方法もありますが、多くの国では禁じられています。
スパークリングワイン
スパークリングワインは、はじめにアルコールを発生させるための一次発酵を行ってから、次にそのワインに糖分と酵母を加えて、泡を作るための二次発酵を行う、という手間ひまをかけた製法で造られています。
二次発酵の方法には大きく二つに分かれ、一つ目は「瓶内二次発酵製法」あるいは「伝統的製法」と呼ばれる、ワインの瓶の中で泡を発生させる製法。複雑な味わいが生まれるのが特徴ですが、どうしても時間とコストがかかります。二つ目は「シャルマ法」と呼ばれ、圧力のかかる巨大なステンレスタンクの中で泡を発生させる製法。
こちらはフレッシュさを保ちやすいのが特徴で、大量生産がしやすい利点もあります。
ワイン保存の基礎知識
ワインはとてもデリケートなお酒。開栓後に早く飲むのはもちろんですが、開栓前であっても保管方法を理解していないと、せっかくのワインの風味を台無しにしてしまいます。
ワインセラーで保管するのがベストですが、自宅にワインセラーがない場合の保管方法として、次の7つのポイントを知っておきましょう。
程よく涼しい場所が理想
高温を避け、涼しい場所で保管しましょう。最適な温度は13~15℃です。極端に低温にするのも良くありません。
強い光は大敵
直射日光を避けるのはもちろん、蛍光灯などの照明も同様に要注意です。
乾燥はNG、適度な湿度が必要
ワインは乾燥した場所が大嫌い。湿度は65~80%が理想です。
風に当てない
コルクの隙間からビンの中に空気が入ると、酸化・劣化が早くなります。
ボトルは寝かせた状態で
コルクを乾燥させないため、ボトルは立てずに寝かせた状態で保管しましょう。
強いニオイのものは遠ざける
ワインは繊細な香りを楽しむお酒です。コルクから臭いが移ってしまわないため、ワインの近くには強いニオイのするものを置かないように気を付けましょう。
振動を避ける
振動で化学変化が起こると、変質の原因になります。振動が伝わりにくい部屋、冷蔵庫なら開け閉めの少ない場所を選ぶようにしましょう。
また、いったん開栓したワインは、空気に触れることで急速に酸化が進みます。開栓後は冷蔵庫に保管して、できるだけ早く飲みきりましょう。
さらに詳しいワインの保存方法については、下の記事を参考にしてください。
まとめ
ワインは、知らないと困るマナーやルールがたくさんあって、緊張するお酒、難しいお酒というイメージを持っていませんか?
本来、ワインはあまり堅苦しく考えずに、気軽に楽しむことができる、親しみやすい飲み物です。基礎的な知識をきちんと押さえておけば、何も怖がる必要はありません。
毎日の暮らしの中で、身近なお酒としてワイン生活をエンジョイしましょう。