ワインに含まれるポリフェノールが血糖値を下げる
血糖値が気になる人や、健康診断でメタボを指摘された人、あるいはその予備軍の人たちは、普段からお酒を控えている人も多いかもしれませんね。私も実は気にしています。
でも、近年、様々な研究が進んで、実はワインを飲むと血糖値が下がるという、意外にも思えるエビデンスが出てきていることをご存じでしょうか?
一般的に、飲酒が血糖値を上げると言われている理由は、アルコールには「肝臓の中でグリコーゲンをブドウ糖に分解する作用を促進させる働き」があり、一時的に血糖値を上昇させるためです。ワインはアルコール度数が10~15%くらいのものが多く、ビールよりは度数が高いですが、アルコールそのものは体内でブドウ糖に変換されないので、血糖値を上昇させる直接的な作用はありません。
一時的に上昇した血糖値を下げる役割を果たすのが、すい臓から分泌されるインシュリン。インシュリンは、炭水化物を含む糖分の摂取量が増え、その速度が速ければ速いほど、多く分泌されるという性質を持っています。インシュリンの分泌量が多くなると、体内に蓄積される脂肪の量も増えていきます。パンやビールなど、糖質を多く含んだものを摂った後には、血糖値が急激に上昇するので、肥満の原因になります。
一方、ワインを飲んだ時には、インシュリンの分泌量はほとんど増えず、血糖値を緩やかに下げるというエビデンスがあります。
欧州糖尿病学会(EASD)が発行する医学誌に発表された研究データによると、飲酒による糖尿病リスクの低減効果があることが指摘されています。その中でも、ワインがもっとも高い効果があり、ワインを週に7杯以上飲む人は、週に1杯未満の人と比べて、男女とも2型糖尿病のリスクが最大で30%も低下したそうです。
ワインにはいろいろな健康効果があると言われていますが、その中でも特に注目されている成分が、赤ワインに多く含まれるポリフェノールです。
ポリフェノールには、血糖値の上昇を抑える効果があると考えられています。ポリフェノールは白ワインにも含まれていますが、大半はブドウの皮や種の部分に存在している成分なので、赤ワインの方が圧倒的に豊富です。
一方、白ワインの場合には、ブドウの酸味成分とカリウムが結合してできた「酒石酸カリウム」という成分を多く含んでいる点に、注目が集まっています。ボトルの底やコルクに時々、結晶が付着しているのを見たことがありませんか? この結晶の正体が、酒石酸カリウムです。酒石酸カリウムにも、ポリフェノールと同様に血糖値の上昇を抑える効果があるのではないか、と考える研究者もいるようです。
いずれにしても、ワイン好きには興味深い情報ですね。ちなみに高血圧の人にも効果があるんですよ。
糖尿病の方がワインを飲む際に注意すべきこと
ワインには血糖値の上昇を抑える効果があると言っても、ワインをたくさん飲めば効果が上がるというわけではありません。
糖尿病のある人がワインを飲みすぎると、むしろ高血圧と体重増加のリスクを高めてしまいます。
糖尿病のリスクを抑えるためには、適量を守って、1度に飲み過ぎないことがとても重要です。グラス1杯程度の量を、時間をかけてゆっくり飲むのがポイント。
そのためには、注いだ瞬間のシュワシュワした爽快な飲み心地を楽しむスパークリングワインよりも、非発泡のスティルワインを選ぶのがおすすめです。
また、ワイン100mlに含まれる糖質の量は、赤ワインが1.5g、白ワインが2.0g、ロゼワインは4.0gです。ロゼワインよりも、糖質の低い赤ワインか白ワインを選ぶ方が、血糖値の上昇がより緩やかになると言えます。
そして、貴腐ワインやアイスワインなどの極甘口のものや、ポートワインなどの酒精強化ワインは、さらに糖質を多く含んでいるので、糖尿病のリスクが気になる人は避けた方が無難でしょう。
赤ワインが特に効果的です。健康的な赤ワインの飲み方はこちらの記事を参考にしてください。
【まとめ】飲み過ぎにだけは注意しよう
繰り返しになりますが、ワインがいくら健康に良いからと言って、飲みすぎは逆効果です。ご紹介したカロリーや糖質などは、あくまでも平均的な数値ですので、選ぶワインの種類や飲み方によって違いがあります。
ひとつの目安として参考にしつつ、自分の体質や体調をよく考えて、持病のある人は医師のアドバイスもよく聞いたうえで、無理のない範囲でワイン生活を楽しんでくださいね。