なぜワインに賞味期限表示がないか
ワイン好きな人なら、自宅に何本かお気に入りのワインを常にストックしているかもしれませんね。買ってすぐに飲まずに保管していて、月日の経ったワインを飲もうとした時、ボトルを見ても「あれっ? 賞味期限が書かれていない」と不思議に感じたことはありませんか?
今回は、ワインの賞味期限についてお伝えしていきたいと思います。
実は一般的なワインには、食品衛生法で定められた賞味期限の表示の必要がありません。これは日本国内だけの話ではなく、海外でも同じで、ワインに賞味期限は記載されていません。
ワインに賞味期限が書かれていないのには理由があります。それは、そもそもワインには腐るという概念が無いから。
ワインは、瓶詰めして出荷された後でも熟成する「生きたお酒」です。そのため、必ずしも買った時がベストな飲み頃とは限りません。熟成のポテンシャルが高いワインだと、飲み頃が数年~10年以上という場合もあります。また、どのくらいの熟成具合を美味しいと感じるかには個人差が大きいので、一概に賞味期限を決められないという、ワイン特有の性質があるからなのです。
未開封ワインは種類ごとに賞味期限がある
お店に並んでいるワインの多くは、わざわざ寝かしておかなくても、いつ飲んでも美味しく味わえます。特に手頃な価格帯のデイリーワインの場合は、買ってきたらすぐに飲むのがベストだと考えてOKです。
フレッシュさを味わうのが醍醐味であるボージョレ・ヌーヴォーの場合は、買ってすぐ~1年以内が目安となります。それ以外の、熟成タイプではない一般的な赤ワインは、2年~3年以内、白ワインの場合は1年~2年以内が飲み頃の目安です。
保存状態が良いワインなら、白ワインの場合は5年程度、赤ワインなら7年程度は美味しく飲めることも。さらに、熟成タイプのワインの場合だと、保存状態が良ければ数十年経ってからでも美味しく飲むことができます。
スパークリングワインについては、もともと長期保存を目的に造られていないので、買ったらなるべく早めに飲みましょう。長く置いておくとガスが抜けてしまったり、コルク部分が傷んできて酸化が進んだり、発泡性ワインの魅力が台無しになってしまいます。1年程度を目安に飲むのがおすすめです。
これらの目安期間は、ワインの保存状態にもよります。常温で光が当たるような場所に放置していたら、当然ながら早く劣化してしまいます。冷暗所で湿度が高く、振動が極力ない場所で、ボトルを横に寝かせて保管するようにしましょう。
開封後のワインも種類ごとに賞味期限
ワインは開栓後、時間が経つにつれて酸化が進みます。飲みきれなかったワインは、抜栓したコルクで栓をするか、ストッパーを使ってしっかりキャップをした状態にしてから、冷蔵庫でボトルを立てて保管すれば、数日程度は飲めます。
ただし、白ワインやロゼワインの場合は赤ワインよりも風味の変化が早く、空気に触れることで変色が見られることも珍しくありません。
また、酸化防止剤無添加のワインについても、酸化のスピードがどうしても速くなります。これらのワインは、特に早く飲みきることをおすすめします。
スパークリングワインや軽めの白ワインなら、1~2日程度が目安です。特にスパークリングワインは泡が楽しめるうちに飲まないと値打ちがありませんからね。
コクのある白ワインの場合は、2~3日程度。赤ワインだと、4~5日程度が目安となります。
高級な赤ワインの場合や、ワインが半分以上残っている場合は、概ね1週間程度なら美味しく飲めます。貴腐ワインなど糖度の高い甘口の白ワインの場合は、2週間程度は大丈夫なものもあります。
まとめ
ワインには賞味期限がありません。原料となるブドウの産地や品種、醸造方法、ワインの保存状態などによってもベストな飲み頃が異なります。基本的に腐ることはありませんが、本来の美味しさを存分に堪能するためには、温度や湿度、光、振動などの条件に気をつけて保管することが重要です。
もし、うっかり飲み頃を過ぎてしまった時には、料理に使うと良いでしょう。赤ワインなら、ミートソースやビーフシチューなどに使うのがおすすめ。白ワインは、白身魚の蒸し焼きやフルーツのコンポートにも使えますよ。
諦めて捨ててしまう前に、ぜひ試してみてくださいね。
ワインの保存方法はこちらの記事を参考にしてください。